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keizo

「…以蔵さん…」

「…以蔵さん…」紫音は躊躇いがちに手を伸ばした…が、その手が岡田に触れる事はなかった。………鈴の音が聞こえたからである。触れそうだった手を握りしめ、紫音は坂本がいるだろう場所に目を向ける。鈴の音は一回…あちらもやはり逃げる気はないようだ。このままでいいのだろうか?少なくとも武市さんに言われれば以蔵さんは…止められるのは武市さんしかいない。けれど武市をこち公司註冊服務て来るのはかなりの危険を伴う。しばし悩んだ後、紫音は静かに口を開いた。「今から、連れてきます」言うが早いか紫音は岡田の返事も聞かぬまま、走り出した。武市を連れて行こう。そう決めた紫音だったが、それはうまくいかなかった。頑なに拒まれたのだ。逃げて欲しいと伝えても拒んだのなら、もう無理だと。

ただし…最後に伝えてくれと言われた言葉を持って紫音と坂本は再び岡田の元へ戻った。だが、動けないはずの岡田の姿は既になく、元の牢に自ら戻っていた。引きずった後が痛々しい。「…以蔵!!何故じゃ!!

人斬りでいる必要はもうないがぜ!!おんしは…おんしはそれでいいゆうがか!!」「…坂本さん、声が大きい」泣きながら、坂本は格子にすがりついて呼び掛ける。だが、そんな声にも岡田は振り向かなかった。紫音は周囲を見回し、時間がない事を悟ると、すがりつく坂本の肩を叩いた。「…以蔵さん、武市さんから言伝です。『最後まで着いてこい』」この言葉に含まれた意味が、紫音には理解出来ない。それを聞いた岡田は、背を向けたまま呟いた。「…承知」「以蔵!!」坂本の叫びは大きすぎた。さすがに気付かれたようで、静まっていた獄舎がにわかに騒がしくなる。「竜馬…早ぅ行け…紫音、頼むぜよ…」言いたい事はあるのに、口から出て来ない。最後の頼みであろう事を聞く以外に、紫音には出来る事が見つからなかった。「坂本さん、もう行きますよ!!」泣き崩れる坂本の体を引っ張り、紫音は何とかその場を去ろうとする。だが、坂本を塀の向こうに押しやろとしたその時、恐れていた事が起きた。「誰だ!!」

提灯を掲げて男が一人走り込んできたのだ。男は岡田が牢の中にいる事を確認して呼子を鳴らす。騒がしくなった獄舎の刑場に、更に数人の役人が集まってきてしまった。「貴様!!囚人に何をした!!」「一人、逃げたぞ!!誰か外に回れぇ!!」紫音は一瞬目を閉じ、息をつくと黒冴を抜いた。坂本には万が一の場合も言ってある。隠れる場所も用意してあるから大丈夫だろう。ならば紫音がすべき事は坂本が隠れ場所まで辿りつくまでの時間稼ぎ。「貴様、何者だ!!」対峙するは役人三人。紫音はすぐさま最初に走り込んできた男の懐に潜り込み、黒冴の柄を鳩尾にめりこませた。胃の腑にあるものを吐き出す前に後方にとび、襲いかかろうとしていた二人目の男を難無く避ける。「うげぇっ」無防備に晒されたうなじに刃を返した黒冴を落として、最後の男と対峙した。「きっさまぁ~…何者だ!?何をしようとした!?」「貴方は私を殺しますか?見たところ、刀を持ってるのは貴方だけのようですが」冷静に状況を見ていた紫音。確かに、先の二人は飛び掛かってきたものの、武器を持っていなかった。すえた臭いが鼻につく。

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コメント

1. 無題

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