連れて行くのは兵千のみ、それと船頭たちだ。城門を閉ざして籠城して居れば、数か月は持ちこたえることが出来るように兵糧を積んでおいた。西鰐までは六十キロある上に、黄巾賊の影響範囲内を通ることになる、舞陰と宛の間をどれだけすんなりと通ることが出来るかで結果が大きく変わって来る。
陽が傾いてから二十キロ進んで襲撃、夜が明けるまでに河を下り始めて宛の脇を抜けることが出来れば逃げきれる算段だ。船の用意をするのに時間が掛かったな、何せ持って歩くわけにはいかないからな、あちらに隠しておくようにするのは苦労した。
初日は少し無理をして暗くなってからも歩いて、周囲に民家が無い山の中に辿り着く。そこで昼まで寝て、https://www.easycorp.com.hk/en/secretary 午後から移動を始めた。街道付近まで来たらそこで待機し、陽が暮れるのを待つ。暗くなり始めたところで速足で道を横切ってしまい、また山へ潜り込む。ここから先は案内人の先導で、気合いをいれて歩いた。
月明かりを頼りにして、何とか西鰐付近の裾野へとたどり着く。百人を船の隠し場所へ向かわせ、残りで西鰐の傍へと忍び寄った。少数の見張りだけを残して、他は寝入っているようで静かなものだ。弩兵を五人手招きして、二人の見張りを倒すように割り振らせる。互いの姿を再確認、白い布を巻いているのが味方だ。
一斉射撃で見張りを排除するのに成功すると、出来るだけ音をたてずに侵入する。叫んで乗り込むのは気づかれてからでいい、ここの中核兵は西陵の奴ら百人と、荊州兵の中でも度胸が据わった奴らだ。小屋に散らばる、息を殺して合図が聞こえるのを待ち一斉に飛び込んだ。 あちこちで悲鳴が聞こえる、運よく小屋から逃げ出した者は外で待っていた兵に殺される。争う音は聞こえてこない、松明をつけさせて物資の確認を行わせるとかなりの量が積まれていた。
「よし、出来るだけ船に持ち込むんだ急げ!」
ここから先は人力作業、二時間かけて運べるだけ運び、残りは一カ所に集めて火を放つ。燃え上がるのを待たずに船に盾を持った兵を五人ずつ乗せて下らせる。そちらは応佐司馬に任せて、残る兵は俺が引き連れて陸路を戻る。本当は一緒に河を下れたら良かったんだが、そんな大きさの船は無いし、数も揃わん。
昼まで寝ていたのでまだ睡魔は襲ってこない、ここを降りて博望の山に潜り込んで次の夜を待つぞ。火事を見て陽が登れば黄巾賊が来るはずだ、今はそれらと戦っている場合じゃない。
陽が登る前に来た道を戻り、途中で東に折れて栗蓋とかいう集落の傍にやって来る。山一つ挟んで裏側に居れば見つかることもない。昼間は時間があるから、三交代で眠らせることにした、疲労はそこまででもないから充分だ。昼間に猟師と鉢合わせた奴がいた、その猟師を拘束してしまうが害は与えない。
暗くなると「夜明けになれば家に戻って良いが、暗いうちにここを離れるようならば命は無いと思え」と脅しておく、あまり好きではないが二人だけ残して監視をさせ、動かないようならばすぐに追いかけて来いと言いつける。もし動いたら、その時は言葉の通りさせるつもりでだ。
陽が落ちてから南へと移動を始める、二時間か三時間もすると街道を横切る、そこからもずっと進み続けると、真夜中にどこかの河にぶつかった。