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keizo

山の中央裾野から二十メ

山の中央裾野から二十メートル程度の低い場所に、横へ広がってではなく三か所に別れて隙間を多大に残して典偉は布陣していた。

 

 なるほど、通り抜けたければ行けと言うわけか。それなら被害は少なくて済む、賊も逃げ道が見えているならば抗戦よりもそちらを選ぶだろう。意地悪く倒木や落石で歩くのも一苦労の場所を残してあるので、移動の最中に側面から射撃されているのも多数いた。

 

「平地に溜まっている賊の背をうつぞ、かかれ!」

 

 七百とは言えこちらは戦闘集団、あちらは敗残兵、話にならん。組織的な狩りをしていると、近くで歓声があがる。

 

「別部様、https://www.easycorp.com.hk/zh/secretary 身形の良い敵を討ち取りました!」

 

「どこだ」

 

 案内させるとそこに転がっているのは確かにただの盗賊とは思えない、身分がありそうなやつの死体が転がっている。捕らえた黄巾賊を数人連れて来させ「こいつは何者だ」質問する。

 

「これは神上使様!」

 

 そうか、首領を討ち取ったか、こいつは重畳。首に軽く触れて捕虜の処刑を命じると「その首領の死体を回収しておけ、涅陽へ帰還するぞ!」やるべきことはやった、一先ず目的を果たしたなら撤収する。 来た時よりも警戒をさせ、張遼にも撤収命令を下すと城へと収まる。そこまできてようやく兵にも通知を出すと、城内は歓喜の声が渦巻いた。宴会をしてやりたいところだが、混乱が続いているんだそれは明日に持ち越しだ。と思ったが、そこは素直に酒宴を行わせ、不運な俺といくばくかの警備に志願した奴らで各所の警戒を行うことにした。

 

 応佐司馬がにこやかに「某も警備に志願いたします」と面白くない役回りに加わる。こういうのは年寄りの役目だからな、言葉などいらなかった笑顔を返すだけで。

 

 

 華容へ伝令を送りことの顛末を報せると、周辺の治安維持に努めることにした。ひと月の間南陽郡南西部、北西部を宣撫していると、未だ黄巾賊の手中にある宛城で変化が起こった。趙弘を名乗る賊徒が志を引き継ぐと、宛で渠師を宣言した。

 

 この渠師とは黄巾党での位階のようなもので、いわゆる将軍のような称号で、黄巾賊の集団の方を指揮する人物に加えられるもの。せっかく退治したのにまた湧いて出たというわけだ。先の奴よりも優秀で功績があればこいつが主席になっていたはずだ、方向性は違うかも知れんが二番手を恐れている場合じゃない。

 

「島殿、聞いたところでは潁川では官軍が黄巾賊と衝突して、地方軍も禁軍も敗走したそうだ」

 

「らしいな、その後どうしてるかは知ってるか?」

 

 朱儁とかいう大将が数万の兵を集めて進んで、中原で賊と正面衝突して負けた。あまりにも意外過ぎて誤報かと思ったよ俺は。何をどうしたらこんな奴らに負けることがあるんだってな。

 

「長社方面に撤退して兵を集めてるって話だ」「ああ、あそこか。数は必要だが、別の何かが足りていない可能性の方が高いな」

 

 そういやもう一軍出てるんだよな、そっちは全然聞かんが。

 

「首都への防備を考えたら長社が下がる限界だもんな、ぎりぎり潁川郡だし恰好もつく。それで皇甫嵩軍だが、逃げて来る朱儁軍を受け入れて防備を固めているだってよ。最初から二人で攻めてれば勝てたんじゃないのか?」

 

 あまりの大軍だから二手に分けたのか? 一カ所に集まっていても仕方ないから、半数を後方補給路で治安維持に充てるのはいいが、先鋒が負けているなら世話ないぞ。

 

「で、もう一軍出てるんだよな?」

 

「ああ、冀州方面の盧植軍だな。そっちでも刺史や太守が攻め殺されて劣勢だってよ」

 

 官軍は一体何をしているんだよ、どうして数も質も上なのに勝てないんだ。勝つつもりがない? 政治的な何かが絡んでいればあり得るが。

 

「なあ張遼、官軍は何か足かせをされてでもいるのか? どう考えても負ける要素がわからん」

 

「こうまで大きな軍を出したのは久しぶりだからな、将軍らにも経験が無いからだろ。もちろんその下のやつらも、兵にもだ。もたついてるうちに反撃を受けたら逃げた、それが総崩れになるが統制できない。ありえない話とは思えんが」

 

「ふーむ……まあ大軍になれば意志が伝わりづらいからな。お粗末な結果であることに違いはないぞ」

 

 俺一人で五万人動かせと言われても、今日の飯すら用意出来ずに全滅という未来もありえる。やはり幕僚が居てはじめて軍隊は成立する。そういう意味では黄巾賊も組織化を上手い事やってるってことだ、宗教集団にも階級はあるし、命令系統も存在する。

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