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keizo

「他の理由は」

「他の理由は」

 

「今後の補給地との連絡線を保つためにも、この方面が必要です」

 

「あとは」

 

「逃げる時は北へ逃げるから敗北と申しますゆえ、魏帝への配慮に御座います」

 

「はっはっはっはっは! international school admission open そのくらい心に余裕があれば一人前だ」

 

 南部から支配域を拡げて、東で大鮮卑と接触する形だな。輸送物資も北西と南西から来るんだ、道理にかなうが司馬懿はどう考えるだろう。宛方面へ動かした四万、これらが遠回りで東へ姿を現さないかを疑うはずだ。

 

 南へ向けた二万、こちらも迂回するために進発したかを確認するのが一手目だろう。いずれも一両日で確かめることができる、今日は手を出してこない。明日どうするかを見極めるのは俺の動き次第。引きこもっていれば単に軍を割ったと即断するだろうさ。

 

「襄城を明日の朝一番で攻めるぞ。潁具から支援隊が出てくるはずだ、それは馬金大王に任せよう」

 

 呂軍師を呼んで来るように命じると暫く外を眺めていた。ややしてすました顔でやって来る。

 

「お呼びと聞きました」

 

「おう、明日一番で襄城を攻めようと思う、どうだ」 まるで朝食の内容を決めるかのような軽い一言。にっこりとして「よろしいのではないでしょうか。某が指揮して参ります、将軍らをお借りしても?」人任せには出来ないと言うことだろう、志願して来る。

 

「親衛隊と李兄弟のうち一人だけ残れば後は自由にして構わんよ」

 

「親衛隊と北営軍は本営に在るべきです、中衛将軍と中堅将軍、石将軍に夏将軍をお借りします。せっかくなので石将軍にも五千程率いていただきましょう」

 

 急に名前が出た上に、念願のまとまった兵を指揮出来ると耳にして興奮する。

 

「俺が五千人の将に!?」

 

「うかれるな、呂軍師の命令を違えるような真似をするなよ」

 

「石将軍には戦況を見て、独自に動いてもらうつもりですので。いささか戦場は狭いでしょうが、それでも判断の連続です、やってくれますね?」

 

 子供がおもちゃを与えられたかのように瞳がらんらんと輝いている。こういうのが人事の妙というんだろうな、やる気を奮わせることが出来ればそれだけで大成功だよ。

 

「おうよ! その信頼に必ず応えてみせる!」

 

「今晩担当者を集めて軍議を行います、副将を一人だけ連れてくることを許可しましょう」 補佐役でもあり、恐らくは別途呂軍師になにか吹き込まれる対象でもあるな。石苞が信用している奴を自身で選んでくるんだ、いざというときはそいつの言葉を容れるだろう。

 

「俺の方は馬金大王と打ち合わせるとしよう。奴に連絡を入れておけ、それと酒の用意もしておけよ」

 

 多分話などものの数分で終わり、ほとんどは酒盛りだ。ま、それでいいんだよ。ローテクの切り合いは行き当たりばったりで、考えた通りに行くなんて皆無だ。現場判断に丸投げして、目的と撤退条件だけ伝えておけば良い。

 

「ご領主様、寓州城から民兵を徴募する許可を頂けないでしょうか」

 

「李項の好きにしろ、今後もそういうことは事後承諾で構わんぞ。お前の判断は俺の判断だ」

 

 何度こう言って来ただろうか、それでも言い続けるぞ。李項という存在が俺にとってどれだけ頼りになっているか、こいつは一切そんな風に思って居ないんだろうな。

 

「お言葉有り難く! 陸将軍、身辺警護を頼むぞ」

 

「お任せを!」

 

「それでは一足先にお暇させていただきます!」

 

 一礼すると李項は甲冑をガチャガチャ言わせて宿舎ではなく大通りへと向かって行った、親衛隊の兵が五人後ろに付いて行く。陸司馬と目を合わせると、口の端を吊り上げた。部屋へ戻るとするか。

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