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keizo

「我が君の寛大なお言

「我が君の寛大なお言葉に、文若が感謝を申し上げます」

 

 その場から島介が去りややすると屋敷に半旗が翻る、弔意を内外に知らしめるものだ。荀彧は喪服のままで文聘と典偉に潁川へ向かうように命令が下ったと報せると、即座に動員を掛ける。出発は翌日になるだろうと思っていたが、たったの二時間で五百の武装兵団が整った。今は戦時だ、そのくらい出来ずに務まろうはずもない。

 

 潁川郡潁陰県は許のすぐ西側、避孕藥副作用 小黄から百五十キロ離れていて、騎馬で三日が目安だ。初日が午後からの出発ではあったが、途中急いだのでしっかりと三日目には到着した。

 

「不審な集団め、何者だ!」

 

 郷の警備兵に留め立てされる、それも仕方ないだろう軍旗も立てずに黒づくめの騎兵が五百も現れて平穏無事なはずがない。緊張していると喪服で騎馬している者が進み出た。

 

「荀文若が戻りました。仲豫殿にお目通り願いたいのですが、お伝えして頂けるでしょうか」

 

「こ、これは文若様! 直ぐにお伝えして参ります!」

 

 警備兵が駆け足でどこかへ行ってしまった、地元だけに荀彧の威光がこんな場所の警備兵にまで行き届いているのに文聘らは感心した。元から名声の程は耳にしているが、本当に凄い人物なんだなと。

 

 戻って来た警備兵が案内し郷を進んでいくと、多くの住民が道々で頭を下げて挨拶をする。大きな屋敷へ行くと見た目も爽やかな四十路の男が出迎える。

 

「文若よ、久しいな」

 

「仲豫殿、ご無沙汰しておりました。叔父の喪中ではありますが、取り急ぎ用があったため戻りました」

 

「うむ、まずは中へ。お連れの方々もむさ苦しいところでは御座いますが、どうぞ」 もしかすると美形の血筋なんだろうかと文聘は二人を見てしまう。実はその通りで、この家系は美男美女ばかりが輩出されている。外から入る血もまた見目麗しい女性が来るので洗練されていったのだろう。余程の才覚が無ければ家柄で嫁いでいたので、輿入れさせる側も気を使う部分が多かったろう。特に娘は美貌でなければ肩身が狭い思いを一生するのだから慎重だったに違いない。

 

 席に着くと茶を用意されるが、やはり喪服の者達ばかりだ。亡くなった人物もまた名高き人物だったというのを示している。

 

 荀悦、仲豫とは現役世代である荀彧らの中で一番の年長者。即ち親世代の長男である荀倹の次男だ、長男は幼くして逝去している。一族でも長男、次男で家督を継ぐ者は大体が出仕していたが、荀悦だけは郷里から出ることなく研鑽を続けた。

 

 そのせいあってか学者としての名は上がったが、家督相続者としての評判は低い。有体に言えば書物に向かっているだけで、一族に食べさせてもらっていたという話だ。

 

「して文若、急用とは董卓軍のことかな」

 

 決して頭脳が劣っているわけではない、むしろ世には出ていないが極めて切れ者だ。幼いころから荀彧だけは荀悦のことを慕い続け、常に肯定してきている。それだもの荀悦にしてみても従弟が可愛くないはずがない、十五歳も離れているので弟というよりも子供のような感覚もあったかも知れない。

 

「はい。潁川を侵略しており、程なくここにも毒牙を向けるでしょう。董卓の残虐さ、非道さは聞き及んでいるものかと」

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