こういった見立ては俺なんかよりもこいつのほうが遥かに鋭いし正確だ。真剣そのものの表情、読み違えると多くの者達の将来に多大な影響をもたらしてしまう。
「恐らく明朝はいつもよりも多くの者が参内するでしょう。何も知らずに赴く者でなければ、少なからずの緊張が見えるのではないでしょうか」
知らないのは皇帝本人ということだな、https://www.easycorp.com.hk/zh/offshore 朝廷に登るような奴らが耳にしないはずがないんだ。或いは嵐に巻き込まれないように姿を消すやつも居るかも知れん。
「それで是非を問おうとする者はどうだ」
「先の騒ぎの際は丁原殿が厳しく反対をし、董卓を罵ったとのこと。結果は洛中で命を落とす羽目に。否を発する者はその場で断罪される恐れすら御座います」
董卓が提言すると、ダンマリを決め込んで仕方なく従うというわけだな。それは推定事項にあるんだよ、何せ歴史がそうだと認めている。
「反対をする者はすぐさま都を脱出するだろうな。董卓もそれを止めようとはしないさ、邪魔者は消えてくれた方がやりやすい。違うか」
「獅子身中の虫は扱いに困るのは事実でありましょう。ですが外へ出て無事に逃亡させるつもりもありますまい」
追っ手を出して暗殺するわけだな。ふむ、手勢が居る奴らは何とかするだろうが、兵を持たない奴らは逃げるに逃げられんか。それとも夜陰に紛れて単身消えるかだな。その時俺はどうする?
ここから離れると言うのは潜在的な董卓の敵、俺としては接触をしてみる価値がある人物になる。味方になるかは半々だとして、恩を売る位の計算は立てられるな。十二も外門があるんだ、全てを見張るのはかなりの労力になる。 どれだけ厳しく閉門を命令したとしてもだ、逃げる奴も必死でそこを潜り抜けるんだ、買収だって起こるし昼間に外に出て戻らない事だってあるだろう。
「……荀彧、もしお前がごく少数で離脱しなければならないならどうする?」
質問の意図がどこにあるか、どういった返答を期待しているのか。荀彧クラスになれば一手も二手も先を考えて返事をしてくるものだ。
「手勢も権限もない身で都を密かに離れるならば、河を使うわけにも参りません」
船か。確かにそれでは目につくし逃げ場もない、その上足跡をたどるのも船頭からなので比較的容易だな。
「陸路と言うことになるだろう。馬はどうにか都合をつけることが出来たとしたら」
駿馬を求めるのでなければ農家に繋がれている馬を買いあげればいいんだ。足さえあれば多少の駄馬だろうと関係ないからな。
「まさか函谷関を抜けるわけには参りませんので、西へは行きません。虎牢関、汜水関も同じく東へも参りません」
洛陽の東西を守る関所だ、ここは中央の一声で誰一人通さないようにするのが役目だからな。兵も多いから捜索でもされたら逃げ切れんぞ。
「して、北部山地をぬけ壺関を抜けて業から平原へ抜けるならば可能性もあるでしょう。ですが異民族に襲われる危険が御座います」
「では南だとどうなる」
「伊河を下り魯へ出ることが出来れば、そこから南陽郡へ抜けられるので宜しいかと」
こっちの河は下れば追いつけないわけだな、距離が短いというのもあるか。だが道が狭いので待ち伏せには便利かもしれんな。
「さて、知者は時に同じ橋を渡ると聞くが、荀彧がその時選ぶのはどの道だ」「運を天に任せるつもりはございませんので、北部山地を踏みたいと考えます」
なるほど、最後の最後まで他人を頼らず、自身の機知及ぶ限り思案し、その足で生を望むわけだな。
「では北部へ脱出するものとして考えを限定する。どうすればそいつらを追っ手から守り、無事に逃亡させることが出来るかだ」
「我が君は都に残られるわけですね」
意外だったのかそうでもなかったのか、確認の意味を言葉にしたか。