で試すのが一番わかりやすいのですが、狭量なだれかさんのおかげで、それもかなわぬようでございます」
俊冬が、おれを非常識あつかいする。
「ふんっ!兼定の散歩係にしとくのも、もったいなくなってきちまったな」
副長の嫌味に、みな、同步放射化學治療 大笑いしている。
ってか、散歩係からの降格っていったい、なにになるんだろう?ってか、パワハラといじめにあってるおれって、なんていじらしくてかわいそうなんだ?
「いじらしくてかわいそうとは・・・」
「もうっ!だから、よまないでくださいって、たま」
よんでくる俊冬に怒鳴ってしまう。これではまるで、高校生カップルみたいだ。
「早朝、山へゆき、仕留めてまいりました。死んでいるとはいえ、死体を弄ぶのは気がひけますがのため、許してもらいましょう」
俊春がひっぱっている荷車の上には、猪が横たわっている。わりとおおきな猪だ。それをさっと狩ってくるとはさすがである。
急にアイスが食べたくなったからと、近所のコンビニで買ってきた的な俊冬。かれは荷車にちかよると、猪に掌をあわせる。
「あちらへ、ぽち。おまえも感じろ」
「はっ」
弟に命じると、俊春は荷車を向こうのほうへひっぱってゆく。距離は、100メートルほどか。スペンサー銃の有効射程距離はたしか200ヤード。つまり、180メートルほどである。その半分の距離である。
「主計の申す通り、スペンサー銃は使用する、、銃の性能、方式が異なるため、ほかの銃とは射程距離や威力がちがいます」
俊冬は説明しつつ、銃を構える。
100メートルほどさきに置かれている、荷車の上の猪。
俊春は、あろうことかその荷車のまえで片膝立ちしている。
俊冬は周囲をみまわし、万が一にもだれかがやってこないかを確認すると、さしてじっくり狙うわけでもなく、一発発射する。 荷車の上ではじけた。猪の一部が、である。ほぼ同時に、「ぱんっ!」とかわいた音が耳を打つ。
局長や副長をはじめとし、みなから感嘆のため息やうめきがもれる。子どもらも、
荷車の上ではじけた。猪の一部が、である。ほぼ同時に、「ぱんっ!」とかわいた音が耳を打つ。
局長や副長をはじめとし、みなから感嘆のため息やうめきがもれる。子どもらも、を「村正」で斬ろうというのか。
これから起こることを、全員が息をひそめて注目する。緊張と期待がないまぜになり、その集中力は半端ない。
俊冬の緊張が伝わってくる。これが死んだ猪や、紙に書いたような的であれば、さして狙う必要もなく命中させることができるはず。
現世であろうと異世界であろうと、最強の剣士にして最高の戦士である俊春ではあるが、かれはいま、耳がきこえず片方のがみえぬのである。健常ならできるであろうことも、いまはそうではない。失敗は、ソッコーで死につながる。
これもやはり、双子流のストイックな鍛錬なのであろうか。
「くーん」
おれの左脚のすぐうしろで、相棒も心配げにしている。
俊冬の今回の射撃スタイルは、スタンディングある。
このスタイルは、安定しないので射撃がしにくい。戦場では、立っているので敵に発見されやすく、全身をさらしているのでその分的としての面積もひろくなる。前進や後退しながらとか、射撃してすぐにその場から離れなければならないとか、そういった場面にしか向かないスタイルである。
もっとも、いまは戦場ではないし、プロの中のプロである俊冬は、そのかぎりではない。
そっとうかがうと、俊冬は頬を銃につけたまま瞼を閉じている。あまりの静けさに、かれが深く息を吸いこんでいるのがわかる。そして、前方にをうつすと、俊春もまた、腰をわずかに落として鯉口をきり、瞼をとじている。
たしか、七連発の元込め式といっていただろうか?ということは、残りは六発・・・。
呼吸がとまったと感じる間もなく、俊冬が連続でトリガーをひく。これは、だれのをうつすと、俊春もまた、腰をわずかに落として鯉口をきり、瞼をとじている。
たしか、七連発の元込め式といっていただろうか?ということは、残りは六発・・・。
呼吸がとまったと感じる間もなく、俊冬が連続でトリガーをひく。これは、だれの「たま。猪の頭部がなくなってしまいました」
俊春は、掌で荷車上の猪を示す。
「尻にしておけばよかった。頭部は、頭の上にのっけて敵に突進すれば、面白かったにちがいない」
「「鬼Oの刃」の伊O助かいっ!」
しみじみとつぶやく俊冬に、思わず突っ込む。
そういえば、あれもよんでいたコミックの一つであった。が、当然のことながら、途中でよめなくなった。そう思うと、つづきが気になってしまう。
それは兎も角、銃の威力よりそこか?
俊冬の感覚のズレというよりかは、ボケに徹する姿勢に、あらためて脅威を抱いてしまう。
「いや、これはすごいな」
「ああ。跡形もない」
みな、そんな双子にだいぶんと慣れてしまっている。そこはスルーし、猪を囲んで銃の威力を実感している。
「距離にもよりますが